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この記事のコメント
診断するということ
診断という行為は厳密な意味での確定的事項ではなく、常に不確実さを含んでいます。対象が生きている人であり、また社会的な制約もありますから、その手段は自ずから限定されてしまいます。だから診断がイイカゲンでよい、というわけではなく、その不確実さを認識した上で可能性の高そうな判断を下すべきなのです。従って医者の間で意見が分かれることはしばしばありえます。

さて、拘束型心筋症の分類と詳細については Web site 欄に記入した pdf を参照していただくとして(NEJM という業界内では一流とされるジャーナルの記事です)、 idiopathic, amyloidosis, sarcoidosis, endomyocardial fibrosis 以外では非常に希な代謝・沈着症が挙げられています。然るに、UNOSの transplant-diagnosis で検索すると、移植された人のうち idiopathic が 358 人なのに対し問題となっている "other specify" は 58 人もいます。

嘉川忠博医師による「診断文書」によれば心臓超音波、心臓カテーテル、心筋生検まで行っているので検査としては十分と思われます。その上で「特発性拘束型心筋症」としているのですから、ロマリンダにおいて "other specify" とされた理由としては

1.そのほかの希な疾患がロマリンダでの検査で見つかった

2.UNOS の登録フォーム(下記リンク参照)を見るに、
primary diagnosis (初期診断)として 拘束型心筋症と記入したが specify の欄に idiopathic と書き込まなかったため "other specify" に分類された
http://www.unos.org/data/about/collection.asp#dcf

のいずれかが想定されます。前者ならばfw0さんの仰るとおりですが、一般的に希な疾患を診断するための検査をルーチンで行う検査に加えることはしません。なぜならばその希な一人を診断するために大量の偽陽性を生み出すからです。また、これらの疾患であればそれを示唆する臨床像があるはずですが、当該患児はマイコプラズマ肺炎・血尿の他は既往がないのでこれについても否定的です。

後者についですが、真に原因不明であったか検索しなかったため敢えて空欄にした、ということが考えられます。つまりは病因論についての責任を回避するという態度ですね。その動機でいえばどうやっても原因が分からない=特発性、ということを自らの責任に於て明言することよりは、最初から言及しない方が得策でしょう。

といったようなことが考察されますので、少なくとも "other specify" と登録された= 二次性の拘束型心筋症と診断されたと疑うのは早計ではないでしょうか。
2007-01-11 Thu 23:42 | URL | HF #KzQVueNc
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2007-01-11 Thu 23:51 | | #
・HF さん

さすがプロ、と言わざるを得ないコメントをありがとうございました。詳しく検討していただき、恐縮です。空欄の時に other specify に分類される、という可能性については全く考えておりませんでしたので、確認させていただきます。少々時間をいただくことになるかもしれません。申し訳ありません。

取り急ぎ、エントリに注記を追加いたしました。ご確認ください。
2007-01-12 Fri 00:54 | URL | fw0 #kcGv7Qfc
大変遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。HF さんのコメントについて熟考の上、私なりの結論に至りましたので、報告させていただきます。

まず、私も科学を学んだ者としして、診断が必ずしも完全でなければならない、とは考えておりません。また、実際の医療現場におけるいわゆる誤診率がいかに高いかも理解しているつもりです。それがいかに難しいことか、よく理解しておりますので、通常の診断において誤診をあまりにも厳しく指摘するつもりはありません。ただ、今回の件は1人の女の子の命だけでなく、周囲の多くの人たちの善意に関わる診断であったため、いつも以上に慎重な診断が望まれると思います。

また、こちらにありますように、

拘束型心筋症(こうそくがたしんきんしょう)
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/036.htm
> 原因不明の特発性拘束型心筋症はとくに稀で、原因が判明している
> 二次性拘束型心筋症の頻度は、原因により異なると考えられます。

> 二次性拘束型心筋症の場合には、原因疾患の治療が原則ですが、
> 有効な治療法があるものは必ずしも多くありません。

二次性の拘束型心筋症には有効な治療法が存在するものもあります。確かお示しいただいた論文 (Impact Factorが44だったのにはびびりましたw) にも、特定の二次性拘束型心筋症に対する心臓移植以外の治療法も示されていたと思います。従って、診断が正しければ心臓移植以外の手段も検討できた可能性があり、そのような手段があったなら、まずはそちらを検討してみる事は意義のあることだったと思います。

このような理由から、当エントリでは医師の皆様から見れば 「厳しい」 と思われるような内容をあえて記してみました。


次に、お示しいただいた論文 より、UNOSによる分類に含まれない二次性拘束型心筋症をピックアップしてみます。

Familial cardiomyopathy
Hypertrophic cardiomyopathy
Scleroderma
Pseudoxanthoma elasticum
Diabetic cardiomyopathy
Gaucher’s disease
Hurler’s disease
Fatty infiltration
Hemochromatosis
Fabry’s disease
Glycogen storage disease
Hypereosinophilic syndrome
Carcinoid heart disease
Metastatic cancers

このように、実に多様な原因が存在することが分かります。HF さんのおっしゃるとおり、これらの各症例1つ1つは非常に稀なのだと考えられます。しかし、個々の症例が稀であっても、これだけ種類が多ければ、58人という数字は2次性との診断で説明できると思います。

例えば、拘束型心筋症、と診断された人たちの中で、これらは99%ありえない稀な診断、と仮定しても、全部で14の診断があることを考えると、全てに当てはまらない確率は、 0.99^14 ≒ 87% となります。これまでにUNOSで移植を受けた拘束型心筋症の患者さんの総数は630人以上ですので、単純計算で 630 x 0.13 ≒ 82人程度の other specify の患者さんがおられることになり、58人という人数は十分説明できます。

また、例えばこちらのページでは、

拘束型心筋症 restrictive cardiomyopathy,RCM
http://akimichi.homeunix.net/~emile/aki/html/medical/circulatory/node137.html

Amyloidosis、Sarcoidosis に続いて、endomyocardial fibrosis ではなく Hemochromatosis、Scleroderma が例示されています。このような例示の順番は、大まかには発症頻度に沿って示されると思われますので、Hemochromatosis 辺りは他の症例に比べてもそれほど稀では無いのではないかと思います。UNOSのデータでは、患者数を症例の多い順に並べると

Amyloidosis       107人
Sarcoidosis        62人
Sec To Radiat/Chem  26人
Endocardial Fibros    23人

であり、この後にはなんとなく15人とかその辺りの数字が続きそうです。症状ごとの人数の勾配をざっと予想してみても、58人という数字は医師による判断保留の可能性を考えなくても説明できるような気がします。

なお、登録フォームの他の部分でspecifyと言う単語がどのように使用されているか見てみますと、どうやら日本語のアンケートなどで言うところの

"その他(      )"

に相当するのではないかと思いました。つまり、該当する選択肢が無い場合や、特記事項がある場合のみに記入されるのではないかということです。従って、診断については、通常は『Primary Diagnosis:』 の欄に Restrictive Myopathy: Idiopathic や Restrictive Myopathy: Amyloidosis などと書いてしまい、『Specify:』 の欄は一般に空欄になると思われます。使用されるのは、例えば 「ガンも併発」 などという本当に特殊な場合ではないかと思いました。

もう1つ、検査が十分であったかどうかについては、行われた検査の種類が十分であることはおっしゃるとおりですが、やはり技術などが劣っていた事は十分考えられるのではないかと思います。各国から心臓移植希望者が集まる専門病院と日本の病院とでは、設備等は同じでもノウハウなどに大きな差がある可能性もあります。また、これは論文を読んで見落としていたな、と思ったことですが、時間が経過し症状が進行したため、今回の検査では原因が見つかり易くなっていた、という可能性もあります。

このように、二次性であることが発覚した可能性は十分にあると考えられますが、既往から疾患を推測できるような医学的知識を持たない私としては、当エントリに断定的過ぎた部分があった事は事実ですので、反省の上、本文を一部修正させていただきます。

以上です。長文申し訳ありません。コメントありがとうございました。
2007-01-25 Thu 00:13 | URL | fw0 #kcGv7Qfc
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2007-01-25 Thu 01:30 | | #
不確定なことは多いようですが
そのほかの原因となりうる疾患は例えば Fabry 病なら
17000人に一人といった頻度ですので1%では多すぎます。もちろん移植待ちになるような患児群ということですでにバイアスがかかっており、もっと多い可能性はありますが、それらの疾患があった場合に拘束型心筋症がどの程度発生するかについても確たるデータはありません。拘束型心筋症自体がまれですからね。

また、技術の優劣についても言及されていますが
確かに日本の心臓外科医は心移植について米国のそれと比較した場合経験症例が圧倒的に少ないのは確かです。しかしながらそれが直ちに診断能力の足りなさを示すものではないと思います。また、二次性の心筋症の診断においては心筋生検の結果がモノを言いますがこれなどは病理学の範疇ですので技術の優劣が介在する余地は少ないです。
2007-01-26 Fri 23:57 | URL | HF #-
・匿名 さん

先日、別エントリにコメントをくださった方ですよね? レスを忘れてしまい、申し訳ありませんでした。こちらで両方にレスさせていただきます。

まず、確かに私が上記コメントで引用したページは、Hemochromatosis が多いという十分な根拠とは言えませんね。失礼いたしました。

拘束型心筋症について詳しい方とお見受けしましたのでぜひ教えていただきたいのですが、匿名 さんがご覧になって、

>特に幼児の拘束型心筋症は予後不良で、症状の有無に関わらず、診断一年後の生存率が50%を切る病気です。

と言えるかどうか、意見をうかがわせていただければ有難く存じます。音羽 さん相手には手加減しておりましたので、「症状の有無に関わらず」 をとりあえず無視していましたが、さくらちゃんの担当医としてはこの点についても根拠を示すべきだと思います。前のエントリにいただいたコメントでご紹介いただいた論文については、事情によりこちらでは参照できませんでした。こちらの論文が、「症状の有無に関わらず」 についても根拠となるかどうか、ご意見をうかがわせていただければ幸いです。

お手数をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。


・HF さん

論文の参考文献などを調べてみたのですが、Fabry 病の件 (17000分の1) は確認できませんでした。もしよろしければ、ソースを教えていただければ幸いです。申し訳ありません。

また、1%との見積もりが過剰である可能性についても、前のコメントで言及したつもりでした。14の症状の患者がそれぞれ、

15, 12, 10, 8, 5, 3, 2, 2, 1, 0, 0, 0, 0, 0

であっても、58人という数字は説明できます。つまり、希少な症例については1%どころか、0人であっても問題ない、ということです。

もちろんこの私の意見には確実な根拠はありませんが、58人が説明できないほど大きな数字には見えない、ということは、やはりOther Specify に分類されるにはそれなりの理由があり、医師の責任逃れという可能性はそれほど大きくないのではないかと考えております。

生検については、医師ならぬ私としては、確かに HF さんのおっしゃる通りかな、と思いました。すみません。
2007-02-01 Thu 01:49 | URL | fw0 #kcGv7Qfc
【キチ○ガチ科学者】シム宇宙の内側にて【シムシム詐欺・屁理屈】
おつかれさまでした。
2007-02-24 Sat 21:06 | URL | bakaちゃねら #-
よろしくお願いします
今後ともよろしくお願いします。
2007-02-28 Wed 00:00 | URL | 管理徹 #-
過ちを犯さない人間はいないわけで、他人のたった一度の過ちを何度も何度も名指しで指摘するのは嫌らしいので、もう止めた方がいいですよ。単に自分の薄っぺらい自尊心を満たすためだけにそんな姑息なことを他人の実名を晒してまでやることはないでしょう(哀笑)。



 羨ましいなら、妬んだりしないで、素直に訊いた方がいいですよ。例えば「何故、貴方のところは微妙な問題を議題にしたりしているのに嫌味な皮肉でコメント欄が荒れたりせず、私のところは下らない時事問題くらいしか議題にしてないのに批判や反論や嫌味や皮肉でコメント欄が溢れかえるのでしょうか?」とか訊いてみればいいんですよ。そうすれば、教えてもらえますよ。


 ネットサヨクさんたちのお気に沿わないような発言をするから、攻撃されているんだなどと陰謀妄想説を唱えて自分を慰めてみたって、そんな気合の入った発言など過去に一度もしていないことは御自身が一番知っているはずじゃないですか(嘲)。

2007-03-01 Thu 18:42 | URL | 平田 #-
ところで
さあ。私は極めて不愉快な成りすましの被害を受けています。非常に不愉快です。私の名誉は汚されました。私の理性に対する冒涜です。レイプに等しい悪辣で卑怯な行為と言えるでしょう。

ということで、是非、どういった理由でどういった対処(対処なしも含めて)を行うのか、ブログや掲示板など不特定の書き込みが見込まれるコンテンツを管理する上での規範を見せてください。

アクセスログからわかるはずです。 

結局のところ、これで削除しなかったならば過去に示した削除基準は御自身を守りたかっただけのものでありブログを公平に運用していこうとするものなどではなかったということができます。つまり小倉秀夫さんは、誹謗中傷の被害者が泣き寝入りしない様にしたいわけではなく自分が泣き寝入りしたくないだけだということになります。自業自得とは当にこのことですね。
 過去の削除基準は、以下のような本音を上っ面だけ一般化したものだということですね。

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内容の如何を問わず、削除(及び削除依頼)させて頂きます。


他人のことなどどうでもいいです。
2007-04-07 Sat 09:08 | URL | 菅理徹 #-
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