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この記事のコメント
まだ考えがまとまっていないので一つだけ。
とりあえずこのエントリと前のエントリで、どうにもある暗黙の大前提が設置されているような気がします。

「人が求めるのは幸福であり、より多くの幸福を誰もが選択するに違いない」

こんなでしょうか。これについての取り扱いは今や哲学や倫理学ではなく心理学や精神医学の領分ではないかと思うのですが、実際のところ最近の研究ではどうなっているのでしょう。一見すると人は時に自己の幸福(幸福物質≒快楽物質の分泌)に寄与していないような行動をします。これをどう解釈しましょう?

実はそれも快楽物質を分泌させる遠回りなトリガーでしかないのでしょうか。それとも…「人は幸福のみで生きているわけではない」のでしょうか。後者であると結論されてくれると、後の議論は楽かもしれません。
2006-12-08 Fri 01:39 | URL | 白痴公爵 #-
加藤尚武(ひさたけ)著『倫理学入門』の65頁から「功利主義批判の要点」として功利主義の問題点がまとめられています。テーラーメイド麻薬の世界を否定する根拠になるか分かりませんがご紹介します。(引用ではなくまとめています。)

1、単一原理主義の破綻
功利主義は、すべての社会的価値と権利を導き出す唯一の第一原理ではなく、それらを吟味するひとつの尺度にすぎない。
「自由」「平等」などといったものは功利主義によっては導き出せません。

2、幸福加算の不可能性
幸福の中身は人、時、状況により変化するもので、各人の幸福や多数の幸福を加算することができない。また、種類の異なる幸福は足す事ができない。
単位が違うものを合わせても正確な数値が現れることはないように、「健康である」という幸福と「食事後にビールを飲む」幸福は加算できない、といったような事が書かれています。

3、個体の基準の不在
最大多数とは誰かという問題。受精卵、胎児、植物状態や脳死の人、故人、生物種、生態系などは個体であるのか。また、人口の増える事が最大多数の増大になるのか。
他にも、環境問題では今いる人だけでなく未来の人の幸福まで考えます。未来人は最大多数のうちに含まれるのか。胎児や受精卵など、どこまでが人か、という問題もありますし、人類の亜種が生まれた場合ものすごく困るでしょう。

4、義務への動機の不在
功利主義は個人が自分の不利益を省みずに義務を果たす「義務を超える自己犠牲」(supererogation)を説明できない。
人は幸せを目指すはずなのに、一般的な幸福であるはずのものと逆の行為をする事で幸福を得る、キング牧師やガンジーなどのような人を説明できない、という事でしょうか。

5、配分原理の不在
ドンブリ勘定の功利主義には配分原理はありえないので、一人の健常者の臓器を十人に分けるとか、無実の人を犯人にして犯罪予防効果を上げるとか、少数派を犠牲にして多数者が利益を得る事が正当化される。
fw0さんご指摘の通りです。


個人的には、幸福の不加算性を説明できない点に功利主義の問題の根源が潜んでいると思います。計算できないものの最大とは一体何でしょうか。一般的な幸福を規定したとしても、4のような問題が生じます。

人の言葉を借りましたが、以上のような指摘は非常に有意義であると思います。私自身功利主義の考えにも認めるべき部分があるので、徳倫理学や自由主義的共同体主義などの考えと包括して、諸問題に対して自分なりに線引きしていく事が必要であるのかな、という結論に至りました。
テーラーメイド麻薬の世界についての考察をすっかり抜かしてしまいましたが、以上の事で、この事業を行う難しさくらいは示す事ができたのではないでしょうか。
最後に、引っ張り出した『倫理学入門』ですが、畑違いの身分にとって難しいことが多く、私の解釈が間違っているかもしれません。それが発覚した際には海よりも深く陳謝します。
2006-12-09 Sat 13:28 | URL | 1774 #-
タグを使って逆に読みづらくしてしまうといった所業につきましては、支笏湖よりも深く謝罪します・・・
2006-12-09 Sat 13:34 | URL | 1774 #-
丁重な扱い、ありがとうございます。
僕の紹介した本は漫画(しかも短編)ですので、お暇なときに立ち読みでもしてください。
この手のプリミティブな問題は、哲学よりも漫画の方で端的に取り扱われる事が多いと思います。当然、結論は書かれずに投げっぱなしで終わるわけですが、問題点を明確化するには役立ちますよ。
2006-12-10 Sun 02:49 | URL | おおじじ #EGTCt1XI
続編書くついでに紹介するのに適したニュースが出ないかな、と探しているんですが、なかなか見つからなかったりします。しばしば出てくるタイプのニュースなんですが……。まあ、探すと見つからないのはお約束でしょうw

皆さん、コメントありがとうございます。この問題は奥が深いとあらためて思い知らされました。


・白痴公爵 さん

うーむ、おかげさまで私もどんどん考えがまとまらなくなってきましたよ(笑)

確かに私はテーラーメイド麻薬の世界は許されないと考えております。この点では、白痴公爵 さんと私はおそらく共通の見解を持っていると思います。しかし、その根拠を問われると、考え込んでしまいます。

ここまで来ると水掛け論ですが、白痴公爵 さんのおっしゃる前者については、「苦労の後の努力こそを幸福と考える人には、脳が苦労を感じた後に幸福を感じるテーラーメイド麻薬を作れば良い」 と言うこともできます。苦労が報われないこともある現実社会に比べれば、やっぱりテーラーメイド麻薬の方が優れている、と言えなくもありません。どのような脳の状態であれ、結局は宇宙に存在する物質の1状態に過ぎないわけですから、将来的にはおそらく可能となるでしょう。テーラーメイド麻薬によりその人が望むがままの幻を与える事を "悪" と言い切る事は、論理的には非常に難しいと思います。

後者と結論されると、テーラーメイド麻薬の否定には非常にありがたいことになります。私の考えもおそらくこれに近いとは思うのですが、やはりまとまりません。もうしばらく考えて見ます。何か思いついたら、続編とはまた別のエントリとさせていただくと思います。

「哲学や倫理学ではなく心理学や精神医学」 というご意見は面白いと思いました。生命現象を分子レベルで解明しようとする "分子生物学" みたいに、"分子哲学" や "分子倫理学" のような学問領域も成立するかもしれないと妄想してみましたw


・1774 さん

功利主義の問題点についてまとめていただき、本当にありがとうございました。エントリでも追記にて紹介させていただきました。

一応、文章が引用されているということで、リンクもしておきます。

現代倫理学入門 (文庫) 加藤 尚武 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/406159267X

例のごとくアフィリエイトではありませんので、アンチfw0な方も(以下略

まとめを拝見して、通常の功利主義については加算不可能であることは重要なポイントであると理解できました。では、テーラーメイド麻薬でどうなるかを考えてみると、これまた難問だということは分かりました。確かに足し合わせる事はできないものの、全員が最高の幸福を感じられる状況にあり誰も犠牲にならない場合は、そもそも足し合わせる必要があるのかどうか、ということがよく分かりません。不幸という引き算が存在する環境では厳密な定量化が必要ですが、全てが足し算の場合はどうなんでしょう?

こちらももう少し考えてみますが、あまり期待しないでください。私の手には負えない気がしてきましたw

p.s. 日本の深い湖なんて、田沢湖しか知りませんでした (といいつつ、うろ覚えで検索のお世話になりました。"東北地方のあの辺" というところまでは覚えていたんですが)。


・おおじじ さん

ありがとうございます。どうやら、ショートショートみたいですね。これならすぐ読めそうなので、今度探してみます。
2006-12-12 Tue 17:44 | URL | fw0 #kcGv7Qfc
脊髄反射でレスする事をお許し下さい。
冒頭の追記を見て冷たい汗が流れました・・・。書き直したい書き直したい書き直したい書き直しt

fw0さんの指摘は尤もであります。
既にそういう世界である、状況では上記レスの観点からでは私には抗えません。事実テーラーメイド麻薬のユートピア実効後の事に言及できませんでした。抽斗不足です。問いについても正直、今の時点では分かりません。

田沢湖が日本で一番深いんですね、教えて頂きありがとうございます。支笏湖も二番目とは。そこそこ深いという認識しか持ち合わせておりませんでした。

湖談義のように、知識や倫理的センスを深められるような議論ができるように修行しなければ、と思いました。と、上手い事言ってごまかそうったって、そうはいきませんよね;;
2006-12-13 Wed 02:41 | URL | 1774 #-
・1774 さん

まあまあ、そうおっしゃらず(笑)

今回の幸福論を考えるにあたって、1774 さんが示してくださった 『功利主義の問題点』 について知識を持っておくことは非常に重要だと思いました。私の方こそお礼を言わねばなりません。本当にありがとうございました。

湖談義はレトリックですね。もちろん、良い方の意味で(笑)
2006-12-14 Thu 03:28 | URL | fw0 #kcGv7Qfc
この世界の前提自体を否定するだけなら、カント批判や唯物論批判の手法等でできるかな(私ができるかはともかく)、と思ったりもしますが、このような思考実験についての考察はただの賛成反対の議論に終始するのはもったいないんですよね。関連して色々な事を考えて、ドーパミンを出していきたいと思います。

良い意味で、という言葉は時に残酷で、「キモい・・・良い意味で」という言い回しにも使える余地があるのは、やはり「良い」という意味が倫理的に明確に線引きできない点にあるのかなと思ったり思わなかったりしました。

また脊髄反射です・・・。
2006-12-14 Thu 19:02 | URL | 1774 #-
・1774 さん

レスが遅くなって申し訳ありません。

「良い意味で」 という単語を悪い意味にしかとれない言葉の前につける用法は、私も好きではありません。あえて「良い "方の" 意味で」とすることで、両方の意味を有する単語について、どちらの意味なのか明確に指定することを狙っていましたが、紛らわしかったですね。申し訳ありませんでした。

脊髄反射でも、1774 さんのような的確なコメントをなさる方は歓迎です。私もいろいろ考え、楽しませていただきます。今後ともよろしくお願いします。
2006-12-18 Mon 20:10 | URL | fw0 #kcGv7Qfc
謝るのは私の方です。本当に申し訳ありませんでした。fw0さんが「方の」とつけた心遣いについて、薄々感じたりはしたものの、持論を述べたいという身勝手な思いから、かようなコメントを残してしまいました。
ごめんなさい。
よいお年を。
2006-12-26 Tue 22:06 | URL | 1774 #-
了解です。安心しました。ありがとうございます。

書き忘れですが、もちろん、「良い」 という意味に関する1774 さんの考察も面白いな、と思いました。いろいろ考えさせていただきます。

では、良いお年を。
2006-12-26 Tue 22:32 | URL | fw0 #kcGv7Qfc
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