日々のニュースの感想を中心にいろいろ書いています。毒舌が多めなのは仕様です。"シム宇宙" についてはプロフィールを参照。
ゲーム脳の信者は子育て失敗の言い訳が欲しいだけ。
2006-05-11 Thu 15:44
【政治】 「子供の"ゲーム脳"研究結果次第では、テレビゲーム規制も」 埼玉知事、首都圏サミットで
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1147226097/

あらかじめ明言しておくと、私は「テレビゲームなど映像の子どもの脳への悪影響」とやらの存在については肯定的です。そりゃ何らかの悪影響はありますよ。なので、森昭雄教授みたいなトンデモ研究ではなくてちゃんと科学の手法に基づいて研究を行ってくれるなら、特にその研究自体に反発する気はありません。ただし、悪影響だけではなく、良い影響についてもあわせて評価すべきだと思います。ゲームの悪影響だけを取りあげて批判するのは、「勉強を頑張りすぎたため、ストレスによって自殺してしまった子供がいる。だから勉強は悪いことだ!!」なんて言っているのと同じですからね。

個人的には、ちゃんと研究を行えば、(一部の極端なゲーム等を除いて)教育効果などの良い影響のほうが遥かに大きいため、多少の悪影響には目をつぶらざるをえない、という結論に達すると思っています。

ただ、記事で気になる箇所が1つ。

テレビゲームやビデオの映像を見ていると、脳の前頭前野の機能が低下し、脳内が汚染されるというデータもある。

ひょっとしてそのデータとやらは、岡田尊司の『脳内汚染』のことでしょうか? だったらやっぱり上田清司知事は『ゲーム脳の恐怖』の森教授レベルの無能者ですな。埼玉県民の皆さん、ご愁傷様です。

『脳内汚染』を立ち読みしたところ、『ゲーム脳の恐怖』とどっこいどっこいの立派なトンデモ本でした。前半はゲームが絡む極端な事例を取り上げて、いたずらにゲームに対する恐怖心を煽るだけの内容で、上で挙げた「勉強を頑張りすぎたため…」の例そのものです。また、後半は「ゲーム=悪」の認識の下に集められたアンケート結果を羅列しただけという薄っぺらい内容です。「長時間ゲームをしている子供には、より多くの問題行動が見られる。だからゲームは悪い」と言いたいんでしょうが、この程度の考えの足りないアンケートでは、はたして「ゲームが悪い」のか、それとも、「度を越してゲームをする子供を放任してしまうような、子育て能力のない親や家庭環境」が悪いのかすら区別できません。また、グラフの恣意的な書き方は科学者としてあるまじきもので、怒りを禁じえません。何がひどいのか気になる方は、是非手にとってご覧ください。

でも、私がいくらこんな意見を書いても、ゲーム脳脳の皆さんには頑なに拒否されるわけです。その理由は多くの場合ごく単純です。ゲーム脳系の理論の支持者は、子育て失敗の言い訳がほしいだけです。
「なんでうちの子はこんなに出来が悪い(暴力的、勉強しない、等等)んだろう。もしかしたらゲームが悪かったのかも…。そうだ、きっとゲームだ。ゲームが悪かったに違いない。私は悪くない!!」
と言いたいがために、ゲーム脳を信じてしまうんです。病人が宗教団体につけこまれるのと同じです。単に自分が子育て失敗したという弱みを持っており、それを認めたくないからとりあえず何かにすがろうとしている、哀れな人達なんです。

『脳内汚染』にも、まさにこの「子育てに失敗した母親が、責任を全てゲームになすりつけた一説」があるので、是非立ち読みしてみてください。でも、くれぐれも買わないでくださいね。



●是非読んでいただきたいゲーム脳関連記事
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「ゲーム脳」を批判する記事と、その過去が繋ぐ「毎日新聞の記事」
書評:「ニート」って言うな! [著]本田由紀、内藤朝雄、後藤和智


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この記事のコメント
『脳内汚染』、深く静かに浸透していますね。
『ゲーム脳』についてはいろいろ問題意識を持っている人がいるようですが、こちらはノーチェックで「事実」として広まっていますね。
2006-05-12 Fri 12:02 | URL | カンサツシャ #-
お返事が遅くなってごめんなさい。おっしゃるとおり、方々で支持を集めているようです。子育てに失敗した人や現在進行形で失敗中の人たちがいかに多いか、ということを物語っているように思います。

ただ、私がそれ以上に懸念しているのは、『脳内汚染』を読みもせずに『ゲーム脳の恐怖』と同じトンデモ本だと決め付ける、いわゆるゲーム脳脳の人があまりにも多いことです。彼らは子育て失敗系ゲーム脳支持者と何ら変わりはありません。場合によっては、彼ら自身が「ゲームのやりすぎによって人生に失敗したこと」に対する言い訳を求めているようにも見えてしまいます。こんな人たちが増えては、ゲーム脳支持者が調子付くばかりです。

当blogをご覧の皆様には、今後も次々と登場するであろうゲーム脳系の書籍について、サイエンスに基づいて正しく判断することを心がけていただければ幸いです。
2006-05-23 Tue 00:19 | URL | fw0 #-
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